板金の屋根に板金の外壁のローコスト住宅

老後を快適に自分らしく暮らしたいが、老後の蓄えもあまり切り崩したくないという施主の希望があり、何かを犠牲にしてローコストにするのではなく、限られた予算の中で、夏涼しく冬暖かい、維持・管理が楽、身体機能が落ちてきても介護が必要になっても自分らしく生活できる、そんな建物を目指した。「箱」のような住宅でいい、という施主の言葉から形は決まった。
歳を取ってからの煩わしさを極力減らすため、機能性やメンテナンス性を重視しながらも廉価な製品をできるだけ使用した。小屋組はコスト面で有利な垂木構造とし、できるだけ少ない梁で小屋を掛けた。柱材も一番長い柱でも4m材で間に合うように設計した。平屋の弱点である小屋裏の熱気対策として、小屋裏は大きめに取り、断熱材を多めに敷き込み、また小屋裏の空気を換気扇で強制換気できるようにした。
建具は基本的に引き戸とし、開けっぱなしにしておけば風が抜けていく。照明なしでも新聞が読める明るいリビングにしたいという要望があり、リビングは天井を高く取り、東面上部と中庭から採光をとりつつ、道路からリビング内が見えないように窓を配置している。