夫婦二人の終の棲家として建てられた住宅である。夫は手動車いすを使用、妻はいわゆる健常者である。平屋で車いすで住みやすい建物にしてほしいというのが一番の要望だった。打ち合わせを重ねることで様々な要望が出てきた。中でもこの建物の最大の個性となっているのが「愛車モーリスミニクーパー1275S Mk1を愛でる部屋がほしい」という要望だった。
「今は動かせないが、いつかまたミニを運転することを目標に日々リハビリをしている。なのでミニを手放すことは考えられない。いつでも接することができる場所にミニを置きたい」という熱い思いからミニのための部屋を作ることになった。隣接したオーディオルームからもミニを眺めることができる。
妻の運転するクルマで出かけることが多いということで、建物の床と同じレベルに駐車場を作り、クルマでスロープを上がることで、出かけることが苦にならないようにした。リビングから車いすのまま出られる広さ6帖のテラスには屋根を掛け、天気に関係なく屋外空間を満喫できるようにした。リビングは天井を高く取り開放感を高めた。廊下、トイレ、洗面脱衣は広めに取り、車いすでも動きやすい空間とした。※雑誌に紹介されました(ガレージのある家vol.46