なんくる井の森(知的障害者グループホーム&ショートステイ)

この建物は知的障害のある方たちのグループホームとショートステイである。グループホーム10室とショートステイ5室を1階と2階に分け、グループホームとショートステイは設備基準上、行き来ができない平面計画となっている。1階には法人の事務所も入っている。

限られた敷地面積のなかで要求された部屋をいかに配置し、利用者にとって快適で、法人にとっては効率の良い空間にするかが設計上一番の難問であった。画一的な空間にならないよう細心の注意を払いつつ、建ぺい率との格闘の末、納得のできるプランが出来上がった時には膨大な量の設計図が山になっていた。

外観は木を張った面、左官の面、板金の面と3つのテクスチャーを使い分け、いくつもの建物が重なり合って見えることで建物が均一に見えないように考慮した。

屋内はみんなが集まる空間は真壁仕様とし、仕上げにも木材をふんだんに使い、利用者のみんなが仕事などから帰ってきて、ほっとするような空間になるように心がけた。対して、プライベートな空間の壁はちょっと手垢で汚れても簡単に修正ができる白の水性ペンキ塗りとした。居室の壁の一部は丸のこで挽いたままの杉板張りとし、ざらざらした手触りが人によっては安心感に繋がるということで、その質感のまま使用した。

職員の動きとしては一番多くの時間を費やすというキッチンを中心に、食堂、居室、トイレ、脱衣室への動線が短くなるように、利用者の声が聴こえるように考えた。照明スイッチや消防設備はキッチン内で管理できるようになっている。宿直室も個室を確保し、少しでも夜勤勤務が快適になるように考慮した。畳小上りの下には人数分の備蓄品が納まっている。

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