中島みゆき特集第二弾。「ホームにて」歌詞解釈
「ホームにて」という曲があります。隠れた名曲としてファンにはおなじみの曲ですが、この情景を考えてみます。
まずこの駅はどこの駅だろうか、という最大の謎。みゆきさんの住んでいた場所を考えると、札幌、東京あたりをイメージしてしまいます。歌詞にある「街なか、ネオンライト」という言葉から東京と考えると、「汽車」という言葉がどうも引っかかります。一般的に「汽車」といえば「蒸気機関車」か「気動車」になるかと思います。気動車とは一般的にはディーゼル車のことです。さすがに歌詞から受ける印象は蒸気機関車ではないと感じます。ドアが自動ドアっぽいですし。「♪振り向けばドアは閉まる」ですから。ただどちらにしろ汽車=非電化区間ということになります。曲が作られた70年代に東京発で気動車が走っていた区間があるかと考えると、東北行きだとまだ非電化区間があったんじゃないかと推測してみました。
東北行きで調べてみると、上野~青森を走った「はつかり」が日本初のディーゼル特急だったようです。蒸気機関車で牽引していたものが昭和35年からディーゼル特急になったとのこと。このイメージか?と思いましたが「空色の汽車」ではなくいわゆる「国鉄特急色」です。クリーム色に赤ラインのあれですね。空色とはかけ離れているので却下。
「くろしお」ですが、これと同じ車両です。
上野発のブルートレインは?と調べると「はくつる」が昭和39年に上野~青森に登場。でも上野から栃木の北部までは電気機関車である「EF58」で牽引していたようで「汽車」ではないので却下。ブルートレインの客車の色も空色のイメージからはちょっと外れるかなという気もします。
空色に関しては「空色の汽車」と「空色のキップ」と2パターン出てきます。「♪ふるさと行きの乗車券」が空色のキップだとすると改札は通っているようなので、窓口で説明して切符をもらって帰ってきたのでしょうか?ただ乗車券は「払いもどし」ができるので長距離なら金額も高額だろうし、払いもどしをする気がします。もしかすると「♪溜まってゆく空色のキップ」は乗車券ではなく特急券かも!それなら持って帰ってくるのに何も問題ないし。「♪灯りともる窓の中では帰りびとが笑う」をイメージすると鈍行ではなく特急や夜行列車がぴったりくるので、やはりこの汽車は座席指定のある特急や夜行だと思います。
ここで頭を切り替え、札幌発の特急を考えてみます。「オホーツク」、「ライラック」、「おおぞら」あたりでしょうか。まずはオホーツクから調べていきます。オホーツクは昭和49年に札幌~網走間の特急列車として生まれたようで、「はつかり」と同じく国鉄特急色のディーゼル特急だったようです。ライラックもおおぞらも同じく国鉄特急色みたいです。でも前身である「大雪」という急行に夜行列車があり、その客車がブルートレインよりも明るい青の車両だったみたいです!だいたい「空色」なんて色、人によってイメージする色が違いますよね?空の色なんて時間や季節で変わりますし。ってそれを言っちゃ身も蓋もないけど(笑)。
と元鉄道好きの視点で「ホームにて」を解読してみました。
※これを書いたあと、コロタン文庫54「国鉄全線全百科」を読んでいたらもうちょっと調べたくなってしまいました(汗)。というわけで「追補版」に続きます。
ちなみに、そらいろ工房の名前の由来は絵本「そらいろのたね」です。いろんな動物がひとつの建物に住んでいる感じが素敵だなと思って名付けました。その後、カミさんと出会い中島みゆきを知りました。
私は、中島みゆきさんのように北海道の地方から札幌へと進学し、そして就職で上京しました。
我々田舎者から見ると、東京とは紛れもなく結果を出すための場所であり、いつも心の一片は故郷に残しながらという想いでした。辛くても苦しくても、覚悟を決めた以上、そう簡単に帰るわけにはいかない。だけどどうしても心が折れそうに、いや、もう実は少し折れてしまっている。そんな時もあったなと思います。そんな苦しさと望郷の思いがこの、ホームにてではないかと思います。
私は、この主人公は結局、故郷へは帰らなかったのだと思っています。
都会のホームで終電近くまでの残業終わり、向かいか隣のホームに故郷行きの列車がまさに今、発車をしようとしていた。この苦しい、辛い生活を放り出して列車に乗り込んでしまおう!そんな気持ちで無我夢中で列車に駆け込もうとしたが、間一髪間に合わなかった。ドアのガラスを叩いてもあとの祭り、帰り行く乗客たちを窓の外から見送ることしか出来なかった。しかし、間一髪で間に合わなかったことが逃げ出すことを踏みとどまらせ、再びネオンの光る都会で生きていく決意を新たにさせた。涙も溜息もすべては遠くに思う故郷への思いで奮起に変えて、そして帰る故郷あること、美しい自然と美しい空がいつでも自分を迎え入れてくれるのだという幸せを噛み締め、ネオンサイン輝く都会では燃やされない、すなわち負けないという気持ちを新たにさせる。
涙や溜息というのが青色の切符、そんな涙ににじんだ中に見える列車もきっと、望郷の思いと重なって空色の列車に見えたのではないのでしょうか。
自分の経験で語ってしまい、失礼しました。
Kさん、ありがとうございます。地方から札幌、そして東京と、まさにみゆきさんのようですね。歌を聞きながらKさんの文章を読んでみたら、情景がリアルに見えてきました!なぜかパソコン画面も空色に見えてきました(涙でにじんで)。
私も主人公は故郷には帰らなかったと思います。最近の(といっても2000年ですが…)みゆきさんの曲に「帰省」という歌がありますが、その後、帰省はしてたのかなと思っています(願望が入ってます)。帰省をして半年がんばる力をチャージし、また東京に戻ってくる。
私は東京育ちで就職で名古屋へ。学生時代で東京はもういいやと思い、地方で就職しました。自分にとっては人生で一番良い判断だったと思っています(カミさんに出会えたし)。
歌詞に「今、ドアが閉まりかけて」とあるので 少なくとも旧型客車ではない
「故郷に向かう最終」・・おそらく鈍行ですね
となると12系や14系と思われます。583系とかなら「空色」と表現はしないと思われます。
中島みゆきさん自身の体験から作られたとすれば 東北方面に向かう普通列車
駅は上野では 町のネオンは見えない可能性もあるので 上野より北の駅だと思うのです。
ウクレレ親父さん、コメントありがとうございます。
車両については詳しくないのですが、自分も旧型客車ではなく、いわゆる国鉄特急色(クリーム色に赤い帯)でもない、青っぽい車両をイメージしています。そのような色が国鉄の車両にあったかは分からないのですが。。。
小学生の頃(昭和50年代後半)、上野駅にブルートレインの写真を取りに行った時の思い出としては、ブルートレインの入ってくるホームは地下のホームのように暗く、ネオンが見えるような感じではなかったと記憶しています。なので自分も上野駅ではないと思っています。そうすると大宮?正解がないというのが正解の気もしますが(大汗)、こうやって想像するのは楽しいですよね。