■入院1日目 ~手術前日~
9:00AM。大きなスポーツバッグに着替えやスリッパ、ノートパソコンなどを詰め込んで、小旅行気分で家を出る。途中の駅でカミさんと別れる。「がんばって」、と言われてもねぇ・・・。9:40AM、病院に着く。この病院は父がガンの治療でお世話になり、一時は毎日のように通った病院。そして他界していった病院。少し懐かしさと戸惑いを感じながら、夜間入口の横にある入院受付で手続きをし、ICU(集中治療室)まで案内してもらう。これから4日間お世話になる病棟。ICUと言っても個室で、静かで穏やかな雰囲気。着いて早々、採血、尿検査。これにて今日の検査は終了。あとは明日の手術まですることなし。持ってきた病院用の服に着替える。長袖Tシャツにユニクロで買ったスウェットズボン1000円也。スリッパはスーパーで買った「ベランダサンダル」。履きやすくて大当たり。
午前中から読書モード突入。まずは昨日買ってきた「半落ち」。骨髄バンクのことがストーリーの肝になってるお話。でも腑に落ちないところも少々。これだけプライバシーに気を遣っているのに、新聞の投稿欄に手術日とか載っちゃうかな~。そうこうしているとお昼のご飯が運ばれてきた。ご飯と菜っ葉とおみそ汁だけ。「やっぱり病院食はローカロリーだなー」とどんぶりのフタを取ったら、すき焼き丼でした。味も上々、量にも満足。夕方には「半落ち」を読み終え、2冊目は「野の花診療所まえ」。鳥取赤十字病院に勤める医師と患者の暖かくも切ないコラム集。うーん読書三昧。
それにしても体調を万全に整え、入院するというのはなんとも不思議な気分。骨髄ドナーくらいかな? 健康なのに入院してるとなんだか申し訳ない気持ちになってきます。他の人たちは病気と闘っているのに、僕はだらだらと本を読んでる。先生や看護師さんが僕にすごく気を遣ってくれて、「ありがとうございます」、「すみません」の連発。ますます申し訳なくなってくる。先生達は移植を受ける患者さん側の気持ちなんだろうなぁ。僕に対して感謝の気持ちを表わされると何だかとてもくすぐったいけど、でもみんなの気持ちが一つになってるようでうれしい。僕もこんな機会を与えてもらって本当にうれしい。皆さんに感謝です。夕食もおいしく平らげ、眺めのいい部屋から夜景を見ていたら、カミさんが来てくれた。今日はいいよって言ったのに。寒そうな格好で入ってきたのを見て「あぁ、冬なんだよな」と思い出す。病院内は快適そのもの。
いよいよ明日は手術。心配は全くなし。今までコーディネーターさんや、調整医師、手術をしてくれる先生から何度も話を聞いているので、あとは先生に任せるだけ。“大船に乗った気持ち”ってやつです。寝る前に看護師さんから睡眠薬をもらう。寝れるかなと思いつつ10:00PM消灯。知らないうちに寝てました・・・。
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